電子工作をしていると、数種類の電圧の電源が必要になる。
特に3.3V・5V・12Vの3種類は利用範囲が非常に多いので、常備しておくと便利だ。
汎用ACアダプターといった電圧をスイッチで切り替える事が可能な商品があるので、小電力での利用であればこれで十分である。
ただ、ペルチェ素子等の比較的大電力を必要とする電子工作を行いたい場合には、ACアダプターでは容量不足になる。
そこで目を付けたのがデスクトップPC用のATX電源である。
この電源には上記に記載した3種類の電圧が全て揃っているので、利用しやすい。
また、容量についても500Wクラスの電源で3000円程度から入手可能であり、電子工作の電源としては非常に大容量の電源として安価に購入出来る。しかも、過電流保護回路・短絡保護回路等の安全対策も施されているのもポイント。
今回自作するモジュールの材料は下記の通り。
○ATX電源 (手持品)
○ATX用電源延長ケーブル
○ペリフェラル電源(大4ピン) - SATA電源(15ピン)変換ケーブル
○陸軍式ターミナル(5色セット)
○DVDスピンドルケース
○錘
○両面テープ
ATX電源を直流安定化電源として改造する方法をグーグル先生に検索すると、ATX電源自体を改造しているケースが殆どであった。この方法ではPCの電源としての再利用が不可能になる為、今回の自作ではATX電源自体は全く改造せず、ケーブル接続だけで利用出来るようなモジュールとして製作した。
作成手順
1.DVDスピンドルケースに各電圧出力用の穴を開ける。(陸軍式ターミナルが接続出来る程度の直径とする)
2.DVDスピンドルケースにATX用電源延長ケーブルの差し込み口用の穴を開ける。
3.DVDスピンドルケースにペリフェラル電源ケーブルの差し込み口用の穴を開ける。(2箇所)
4.ATX用電源延長ケーブルの全ケーブルを半分の長さでカットする。(差し込み口のオス側を利用する)
5.ATX用電源延長ケーブルの「PSON端子」と「GND端子」をハンダ付けする。
6.ATX用電源延長ケーブルの3.3V・5V・12Vの各ケーブルを色毎にタイラップで束ねる。
7.ペリフェラル電源ケーブルの黒いケーブル2本を引き抜く。
8.ペリフェラル電源ケーブルの赤いケーブルと黄色いケーブルを、6.で作成した各ケーブルとつなげる。
9.陸軍式ターミナルをDVDスピンドルケースに固定する。
10.6.8.で束ねた各ケーブルを陸軍式ターミナルに接続する。
10.ATX用電源延長ケーブルの差し込み口をDVDスピンドルケースに固定する。
11.ペリフェラル電源ケーブルの差し込み口をDVDスピンドルケースに固定する。
12.DVDスピンドルケースの底面に錘を両面テープで接着する。
使い方
ATX電源のメインケーブル(24PINの電源ケーブル)を、自作したモジュールのATX用電源延長ケーブルの差し込み口(オス)と接続し、利用したい電圧のターミナルから電源を取り出す。
ペリフェラル電源ケーブルの差し込み口は、大電流を取り出す場合に、ATX電源のペリフェラルケーブルと接続する。
画像を見てもらうとわかるが、非常にチープで雑な作りである。だが、使い勝手は非常に良い。
また、ATX電源が故障してしまった場合でも、ATX電源自体を交換するだけで良いので、汎用性も高くなる。
最後に、自作するのが面倒くさいという方の為のモジュールを紹介しておく。
このモジュールを使えば、上記で自作した物と同等以上の機能を利用できる。